人によっては地獄?保険営業がきついと言われる10の理由
離職率が高い保険営業は、地獄と形容する人がいるほどきつい仕事です。
保険営業がきついと言われる10の理由についてまとめました。
ノルマがきつい
保険営業をしている方には、毎月ノルマが課されます。
たとえ、前月の成績が良かったとしても、毎月新しい顧客に売り込まなければならず、仕事が楽になるということがありません。
就職前にはノルマがないと言っていたのに、いざ入ってみたらきついノルマがあるという会社も珍しくない業界です。
ノルマに到達できないことが続くと、暗に自爆営業(=自ら保険に入ること)をすすめられることもあります。
収入が安定しない
一部の凄腕営業パーソンを除いて収入は安定しません。
保険営業では、歩合による給与を前提にしています。
1〜2年目までは給与保証が付いていても、それ以降の基本給は10万円未満ということも少なくないのです。
経費精算ができないことも多いので、電車賃、顧客とのお茶代、顧客への差し入れなどは自己負担となり、毎月数万円の出費となります。
歩合が大きければ問題ありませんが、契約が取れない月はギリギリの生活になってしまいます。
解約されてしまうと返金しなければならない
売れない営業パーソンが無理な営業を続けて陥ってしまうのが、戻入です。
戻入とは、契約から一定期間内に解約が発生した場合、受け取った歩合分の金額を返金しなければならない制度のことです。
顧客に無理やり保険に入らせた、会社に関するネガティブなニュースが出たタイミングなどで戻入が重なると給与がマイナスになってしまうこともあります。
顧客の開拓が大変
他の業界の新規営業では、顧客リストや営業するルートをもらえますが、保険営業では顧客開拓から任せっきりのケースも多いです。
誰にも営業しようがない新人だと、自分の親戚や友人、知人から顧客リストを作ることになるので、プライベートの人間関係悪化に苦しむ方もいます。
仕事で悩んでいることがあっても、保険を売り込んだ家族や友人に相談しにくい、といった状況にも陥りやすいです。
休日がなくなる
働きはじめてから最初の数年は、休日もほとんどありません。
ノルマを達成しなければ、生活できるだけの給与がもらえないので働かざるをえないのです。
個人向けの保険営業をしていると、サラリーマンが働いていない平日の夜や土日にアポイントメントが入るので、文字通り休みがなくなります。
「働く時間を選べる仕事だよ」と勧誘されて就職してしまう方もいますが、それは売れる営業パーソン限定の話です。
社風が体育会系
いかに契約を取るかが大切なので、社風も厳しいものになりがちです。
大声で怒鳴る、精神的に追い詰めるなど、パワハラが平然と行われている会社も多い業界です。
ノルマを達成できた月があったとしても、その後から毎月達成できるわけではありませんし、達成するたびにノルマが上がる場合もあります。
つまり、上司からかけられるプレッシャーがなくなることがないのがつらい点の一つです。
嫌われることが圧倒的に多い
顧客リストがない新人は、家族や友人への売り込みが終わると、テレアポや飛び込み営業をするしかありません。
そうはいっても保険の営業は嫌っている人が多いことも事実で、断られる数が圧倒的に多いです。
嫌な顔をされる、無視されるように断られるという経験をたくさんすると、精神的に追い詰められることも少なくありません。
商材の難易度が高い
そもそも保険は売ることが難しい商材です。
どこでも買うことできる、欲しい人を見つけるのが難しい、市場が成熟しており競合が多い、安価なネット保険が人気になっている、といった特徴があるからです。
近年は、インターネットでそれぞれの保険のコストパフォーマンスを比較することも容易になっているので、営業してスムーズに買ってくれる人がどんどん少なくなっています。
顧客の不幸を目の当たりにする機会が多い
保険の有り難さを感じるのは、何らかの不幸があって保険金が支払われる時です。
顧客やその家族にとって保険金の支払い自体は有り難くても、その自体は喜ぶべきことではありません。
自分のことを信頼してくれていた顧客が亡くなる、重い病気や怪我を負ってしまうといった状況に直面することになります。
保険という商品の特性ゆえに仕方がありませんが、共感力が高い人だと精神的にきつい仕事です。
辞めたくても辞めにくい
辞めることをほのめかしたら、上司に強く引き止められた方もいるのではないでしょうか。
部下が辞めると上司の評価が下がるので、簡単には辞職を認めてくれません。
中には、家族で引っ越しが決まったのに「君だけ半年遅れて引っ越せばいいのでは?」とズルズル退職時期を引き伸ばされることもあります。
保険営業の立場ごとにみる悩み、辛い点
保険営業において特徴的な立場にいる方の悩みについて個別に考えていきたいと思います。
外資系の生命保険営業
外資系の生命保険営業は、ヘッドハンティングされて就職された方も多いのではないでしょうか。
ヘッドハンティングと言えば聞こえはいいものの、実際は人材不足を補うため、自分の報酬アップのために行われることも多いようです。知人からの電話や飲み会などカジュアルな場で誘われることもあります。
自由な働き方、歩合の金額が高いなどのメリットはあるものの、その分日系の保険会社に比べて基本給が低い、経費が下りず個人事業主のような働き方になる、ノルマが達成できないとすぐクビになるなどのデメリットがあります。
女性の保険営業
男性の営業職が大半を占める業界が多い一方で、保険営業は女性も活躍しやすい場として魅力があります。
「家事や育児をしながら自由な時間で働ける」などの謳い文句で誘われることも多いものの、それは十分な契約数が取れている方の話です。
しっかり稼げる可能性がある一方で、結果が出ない時の厳しさは男女に変わりはなく、想像以上のしんどさからすぐに離職してしまう方は少なくありません。
生命保険の代理店営業
代理店営業では、顧客ではなく代理店に営業をするため「個人に保険を売り込むより楽なのでは?」と就職した方も多いかもしれません。
ただし、業務量の多さでは保険営業にも引けを取りません。
1人で20〜40ほどの代理店を担当し、代理店が土日休まず営業しているので休みがない、日々代理店を回り施策を提案するだけで精一杯、代理店との関係が悪化しがち、事務処理が多いなど過酷であることに変わりないのです。
新卒で入ったことに後悔?保険営業を辞めても大丈夫なのか
新卒だけど保険営業を辞めていいのか迷っている方向けに、判断基準を提案させていただきます。
競争か安定か
働き続けるべき人は、競争が激しい業界で貪欲に戦って多くの報酬をもらいたい人です。
「人より多く稼ぐ」が叶う可能性がある職種ではありますが、常に精神をすり減らしながら働きつづけなければならないのも事実です。
一方で、心の安定を保ってそこそこの給与が貰えればいい人は、保険営業を辞めるべきでしょう。
「とりあえず3年」は本当か
「とりあえず3年」と最初の会社に最低3年勤めるべきという意見もありますが、あなたに合わない仕事を続けているのはデメリットしかありません。
新卒1年目で転職活動をすれば、第二新卒としてみなされるので新しい業界にも転職しやすいです。
保険営業を円満に退職するコツ
保険営業を退職する際の考え方、コツ、引き止められた時の対処法を解説します。
保険営業の離職率は圧倒的に高い
保険営業に絞った離職率のデータはありませんが、保険営業として働いていた方の体験談によると、「3年で8割が辞める」「5年で95%がいなくなる」といった声があり、他の職種よりも圧倒的に離職率が高いことがうかがえます。
保険営業を辞めたい方は、合わない方がほとんどであること、退職しても問題ないことをまず頭に入れておきましょう。
1ヶ月以上前に上司に伝える
法律上は2週間以上前に辞意を伝えれば、退職することに違法性はなくなります。
しかし、引き継ぎのことなどを考えると、辞める1ヶ月以上前に上司に相談することが望ましいです。
会社からすると代わりの人材を探す時間もできるので、余裕を持って辞めるに越したことはありません。
社内における引き継ぎだけではなく、顧客の引き継ぎまでできると理想的です。後任の方と一緒にあいさつ回りができると、自分が辞める影響を最小限に抑えることができます。
保険営業をスムーズに辞めるための退職理由
会社への不満を伝えて辞めることはおすすめできません。
「その点は改善するようにするから」と引き止められる可能性もありますし、何より退職するまでの期間が働きづらいものになってしまいます。
実家の仕事を手伝う、親の介護がある、転職先が決まったなど、辞めるしかない状況に伝えると会社側も納得せざるを得ません。
引き止められる場合の対処法
先ほど挙げたような辞めるしかない理由を伝えれば、辞められることが大半だと思いますが、中には話を聞いてくれない、退職について話せる雰囲気ではないという方もいると思います。
辞めたいのに言い出せない場合は、退職代行を利用する手段もあります。
以下の記事では、退職代行とは何か、違法性はないのかといった点から、退職代行会社のおすすめ、評判について解説しています。
保険営業の方におすすめの転職先
保険営業で培ったスキルが活かせる転職先から、働き方をガラッと変えたい方向けの転職先をご紹介します。
ルート営業
営業としてのスキルやキャリアが活かせて、保険営業で感じていたデメリットが解消できると評判なのがルート営業です。
特に給料が安定している、法人相手なので土日が休み、ノルマがきつくないといった特徴があります。
他の業界の新規営業
保険という商材や業界に対して不満があった方は、他の業界の新規営業に転職するといままでの経験が活かしやすいです。
保険営業は、顧客の収入や人生設計を考えてぴったりのプランをおすすめし、クロージングにつなげていきます。
売り込むのが難しい高額な無形商材を扱っていたからこそ、他の営業でも活躍できる可能性が高いと言えます。
具体的には、不動産やリフォーム、投資信託を含む証券、自動車などが、保険営業と親和性が高い商材です。
事務職
保険営業をしていた女性に人気なのが事務職です。
ノルマがない、外回りの営業がなく身体的負担が少ない、土日休みであるといった点にメリットを感じる方が多いです。
技術職
将来的な不安を感じている方は、自分のスキルを磨いていくことができる技術職に転職する道もあります。
技術職の中でも注目すべきはエンジニアです。エンジニアがはすでに人手不足で深刻で、2030年には79万人のエンジニア不足が予測されています。
そのため、スキルさえ身につければ年齢に関係なく給与は上がる特徴があります。現在は、未経験からプロのエンジニアになるためのスクールもあります。
競合他社への転職
保険営業の方の転職先としては、競合他社も多いです。ただし、このキャリアは保険営業が合っていてより良い条件で働きたい方向けのものです。
保険営業を辞めたい、きついと思っている方にはもちろんおすすめできません。
転職するなら転職エージェントを利用するべき
「自分に合わない保険営業に就職してしまった」と感じている方は、同じ失敗を繰り返さないためにもプロの意見を取り入れることをおすすめします。
転職エージェントは求人を紹介するだけと勘違いされがちですが、あなたの価値観や今までのキャリアをヒアリングした上でおすすめの業界や職種、転職先をおすすめしてくれます。
まだ、転職する決意が固まっていなくても利用できるので、今の職場を続けつつどんな求人があるのか教えてもらう、という使い方もできます。
パソナキャリアは求人数が多いので転職を考え始めた全ての人に、マイナビは20〜30代の転職希望者におすすめの転職エージェントです。
保険営業についていただいた質問
レイズキャリアでは、職種や業界に関する質問を受け付けております。ここでは、保険営業に関する質問と回答をご紹介させていただきます。
「この方には本当は必要ないのかもしれない」などと思うと、どうしても強く売り込むことができません。私は営業に向いていないのでしょうか。
(20代女性)
保険営業に限らず全ての営業職において、自分の成績と顧客の利益が一致することが理想ですが、常にそうとは限らないでしょう。時には他社商品の方が優れている、自社商品が必要ないこともあると思います。自分の成績を優先できない、他人への優しい方だと、なかなか成績が上がらないということはあります。
ほとんど実績がないまま生命保険営業から転職を考えているのですが、転職活動中に前職での成績等を聞かれたら詰まってしまいそうで不安です。
(30代男性)
必ずしも営業所でトップクラスの契約を取ったなどの実績が必要なわけではありません。契約数が少なくても良いので契約に至るまでに工夫した点を思い出してみましょう。例えば「丁寧な営業を心がけていたので、満足度は周りよりも高く、事あるごとに顧客から連絡をもらった」などのアピールポイントがあれば、ルート営業の面接では好印象になるでしょう。
「生保レディ」という言葉があるように、保険営業というと女性のイメージが強いのですが、男女比はどれくらいでしょうか。
(20代男性)
保険営業の就労者全体での男女比に関する正確なデータはありませんが、某大手生命保険会社の営業職の男女比は6:4を記されています。会社によってはHPで公表されていることもあるので調べてみるとよいでしょう。
転職したいのですが、自分のことを信用して契約してくれたお客様を放って辞めることが後ろめたいです。せっかく契約してくれたのに、後任の方や会社への信頼もなくなってしまうのではないかと思ってしまいます。
(40代女性)
お客様はもちろんあなたを信頼して契約した部分もあると思いますが、最終的には保険を提供している会社の信頼性で判断しているはずです。また、何十年も入り続ける保険では、担当の営業が辞めることは珍しくありませんので、退職を後ろめたく思う必要はありません。