美容部員が転職する理由
美容部員(ビューティーアドバイザー)は、憧れを持つ方も多く華やかな職種である一方で、離職率が高いという現実があります。
平均の在籍期間が2年と言われるほど、厳しい業界なのです。
そのため、「勤務し始めてから時間が経っていないけど辞めたい」という気持ちになることは珍しいことではありません。
美容部員を辞めたくなる理由をご紹介します。
給与が低い
美容部員の給与は、額面で20万円前後、手取りで16万円前後となっていることが一般的です。
大手百貨店や大手メーカーであれば、年2回ほど1〜2ヶ月分の賞与も支給されます。
さらに、昨今はコロナウイルスの影響もあり多くの企業で減給を行いました。「ただでさえ少ないのに」と転職を考えはじめた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、専門スキルが求められる職種だからこそ、勤務後のスキルアップや休日の研修が当たり前となっており「いくら好きな仕事でも大変すぎるな」と思いはじめることは珍しくありません。
こうした労働時間の長さに対して、給与が低いと感じるのは当たり前でしょう。
土日勤務が必須
美容部員が勤務するデパートや百貨店、駅ビルの店舗、ドラッグストアは、土日祝日がかきいれ時です。
また、お客様の指名があった際には、休日の予定だったのに出勤せざるを得ないケースもあります。
一定期間勤めた方は、安定していて土日休みの企業に転職したくなった方も多いのではないでしょうか。
体力的に大変
百貨店やデパートの営業時間内である10〜19時まで勤務することはもちろん、閉店後の雑務があるので退勤は20〜21時になってしまいます。
こうした勤務時間中は、綺麗な姿勢を意識しつつ、ヒールを履いて、ほぼ立ちっぱなしとなります。
長時間立ちっぱなしで接客をしていても、20代前半までは問題ない方も多いでしょう。
しかし、美容部員にとって20代後半以降は「体力的に長く続けられる仕事ではないな」と考え始める時期になります。
人間関係が難しい
女性が多い美容部員の職場では、人間関係が悪化しがちです。
少人数で女性のみ、という特殊な環境なので、1人でも問題がある方がいると逃げ場がなく、どうすることもできません。
職員間の温度差があることも多く、家庭がありゆったりと仕事をしたい方とキャリアアップを目指しており数字を追求したい方での対立も生じがちです。
ノルマがキツい
職場によって異なるものの、販売数や接客人数にノルマが課されることがあります。
さらに、前述したような雰囲気の悪い職場だと、嫌味を言われる、顧客の奪い合いになるといった殺伐とした状況になりがちです。
そういった人間関係の中で厳しいノルマを達成しなければならないとなれば「辞めたい」と感じることも当然でしょう。
嘘をついて提案する必要がある
あってはならないことですが、ノルマがあると、買ってもらうための嘘をつかなければならない機会も増えます。
特に改善するべき点がない、他の商品をすすめるべき、といった時でも、会社が売り出している商品をおすすめし、とにかくお客様を褒めなければなりません。
こうした嘘をつき続けることで、精神的なストレスを感じる方は少なくないのです。
将来性が心配
美容部員の主な業務としてカウンセリングが挙げられます。お客様の悩みを聞いたり実際の肌の状態を見たりして、おすすめの商品を提案します。喜んでもらえた時はとてもやりがいを感じる業務ですね。
しかし、近年は肌診断の機器が進化しておりこうした業務が置き換わる可能性があります。
もちろん人間にしかできないことはあるものの、肌の深層まで診断できるこうした機械に優れた点があることも事実です。
インターネットでも化粧品の比較、口コミのチェック、購入ができるようになっていますので、美容部員の価値が考え直されていることは間違いありません。
近年は、百貨店の閉店が相次いでいることから化粧品の販売方法自体も変わっていくことが予想されます。
辞めたいのは美容部員?今の職場?
ここまで美容部員を辞めたい理由を見てきましたが、まずあなたが辞めたいのは美容部員なのか、今の職場なのか再度考えましょう。
- 辞めたい理由が給与、休み、体力といった点→これらの悩みは美容部員という仕事自体に起因していますので、他の職種に転職するしかありません
- 辞めたい理由が人間関係、ノルマといった点→美容部員として他の職場に転職すれば、その悩みは解決できるかもしれません
美容部員をしている方は、専門学校を出ている方も多く、美しさを追求すること、商品を通してお客様に喜んでもらうこと自体が好きな方は多いと思います。
厳しい職種である一方で、良い点があるからこそ、納得した上で転職活動を始めてほしいと思います。
美容部員のその後は?業界内でのキャリアについて
今の職場に不満はあるけれど、美容部員としての転職も考えたい方向けに業界内でのキャリアアップについてまとめました。
美容部員として他の企業に転職する方は、キャリアアップできる企業か否かを見極めましょう。
美容部員のポジション
店舗で活躍したい方は、どのようなポジションが用意されているのか確認してください。
「一般社員、サブマネージャー、マネージャー」という3段階、「ジュニア、シニア、リーダー、チーフ」という4段階などで区切られていることが多いです。
いづれにせよ、売上アップや教育を担当する店舗のトップになるためにキャリアを歩んでいきます。
昇進には時間がかかる
マネージャーやチーフになるまでには一般的には10年ほど要することが一般的です。
ただし、大手のメーカーや百貨店では、上のポジションに年配の社員が就いていることも多く、早く昇進することが難しいのが事実です。
若いうちからどんどん昇進したい方にとって美容部員としてのキャリアアップは難しいと言わざるを得ません。
業界内で転職を考えている方は、志望している企業のマネージャーやチーフの年齢を確認することで自分のキャリアを逆算してみましょう。
本社勤務は可能なのか
メーカーや百貨店の本社勤務を希望している方もいっしゃるでしょう。企業によっては、美容部員から本社に登用する制度が設けられていることがあります。
ただし、こうしたキャリアアップは難易度が高いのが事実です。化粧品メーカー本社の職種は、新卒採用でも人気で競争率が高いです。
今勤めている企業での本社勤務を考えているのであれば、社内で注目され噂になるレベルで結果を残していて、勤務態度なども優れている必要があります。
かつ人事や上司に本社への異動を希望していることを日頃から伝えておきましょう。
こうした準備をしておくことで、ポジションが空いた時に声がかかる可能性が出てきます。
他企業の本社勤務を目指している方も「今の企業で欠員が出たら本社採用に抜擢されるほど、美容部員として評価されているか」を考えましょう。
美容部員の指導者という道
本社にある様々な部署の中で、美容部員の方に人気なのが教育部です。
店長経験がある方などが美容部員の指導者として所属します。
役職としては、トレーナー、インストラクターなどと呼ばれます。
美容部員から働き方が大きく変えることができる一方で、いままで培ったスキルや知識を活かすことができます。
ただし人気が高く、社内でこうした指導者の立場に進める方は多くありません。
美容部員におすすめの職種、経験を活かせる職種
美容部員におすすめの職種、経験を活かせる職種を4つご紹介します。
接客業
美容部員は、カウンセリングから提案力まで接客における様々スキルが身につく職種です。
また、求められる接客マナーのレベルも非常に高いので、他の接客業への転職は比較的容易です。
美容部員からの転職先として人気なのが、エステティシャンやネイリスト、アパレル、美容クリニックのカウンセラーなどの「美」に関わる接客業です。
給与や休日に関しては美容部員と似たような条件になりがちですが、新たな環境でチャレンジしたいという方には転職する価値があるでしょう。
キャリアコンサルタント
美容部員として働いていると特に身につくのが「聞く力」と「提案力」ではないでしょうか。
お客様の悩みやなりたい姿をカウンセリングし、解決策を提案する。
こうしたカウンセリング力を活かせる職種としてキャリアコンサルタントがあります。キャリアカウンセラー、キャリアアドバイザーとも呼ばれます。
働き方やキャリアに関する悩みを聞いて、どのような業界、職種に転職するべきか求職者と一緒に考え、提案する職種です。
キャリアコンサルタントについては以下の記事で詳しく解説します。
キャリアコンサルタントとは?年収や仕事内容を元人材紹介会社員が解説!
事務職
美容部員の体力的な大変さに苦労していた方に人気なのが、事務職への転職です。
また、残業がほとんどなく、17時や18時などの定時に帰ることができる点も魅力です。
お客様と直接関わる機会は少なく、黙々と作業することになります。PCによる在庫や売上の管理が得意だった方に向いているでしょう。
ただし、事務職の人気は高く何らかのスキルや資格がないと転職は難しいです。
資格を取得することで、ほかの求職者に差をつけて転職を有利にすることが可能です。
なかでもおすすめしたいのが医療事務です。
医療事務関連の資格はとても多いので、最短1ヶ月で取得できるものから、診療の情報を管理するためのより専門的な資格があり、着実にキャリアアップしていくことができます。
こうした資格を活かして団体に登録して、安定的な働き方を実現することも可能です。
営業職
美容部員として鍛えてきた営業力が活かせるのが営業職です。
どんな職種よりもお客様の近くで接客し、密なコミュニケーションをとる美容部員だからこそ、すでに印象が良い営業スタイルを確立できているはずです。
不動産や自動車、保険などの業界であれば、大幅な給与アップも可能です。こうした業界では、20代で年収1,000万円を超えている方も多くいらっしゃいます。
高単価な化粧品を販売してきた経験は、こうした高額商材の営業にとても役立ちます。
「辞めて良かった」と思うために!美容部員からの転職方法
美容部員から他の業界、職種に転職する際に知っておいてほしいこと、転職に成功する方法を解説します。
転職市場における美容部員の評価
美容部員は、化粧品に関する専門知識、お客様にメイクを施す技術、商品を購入いただくための営業力など多く知識やスキルが必要な職種です。
しかし、これらの全てが他の業界に転職する時に評価されるわけではありません。
また、専門学校卒の場合、他の業界に転職しようとすると高卒と同じ扱いになってしまうのが事実です。
全く違う業界への転職を考えている方は、他の業界でも評価されるアピールポイントを考えましょう。
評価されやすいのは数字で示すことができる販売実績です。
こうした実績があると、他の業界の営業職などに転職できる可能性は高まります。
特にリーダーやマネジメントする立場の経験がある方であれば、毎日シビアに数字と向き合ってきたことと思います。その過程や目標達成に至った経緯などをアピールしましょう。
30代の美容部員も転職できるのか
新しい業界にチャレンジする場合、20代など若いほど転職しやすいことは、どの業界にいた方でも同じです。
しかし、30代から他の業界への転職が不可能というわけではありません。
自分の経験をうまくアピールする必要があることは事実なので、転職のプロである転職エージェントに相談しながら転職を進めるなどの工夫をしましょう。
転職エージェントの中でも、マイナビエージェントなど30代女性が多く転職に利用されているサービスを選べばよりスムーズに転職しやすいでしょう。
他の職種へ転職したいなら、転職エージェントを利用しましょう
前述した接客業や事務職、営業職といった他の職種への転職を考えている方は転職エージェントの利用がおすすめです。
他の職種に対するイメージがなんとなくあったとしても、給与や労働時間などの働き方の実態は分からないと思います。
転職エージェントでは、転職のプロである担当者が求人情報だけでは分からない特徴をふまえつつ、あなたにあった転職先を紹介してくれます。
履歴書や面接の対策もしてくれるので、他の職種に転職したい方の多くが利用しています。
まだ転職する決意が固まっていない方でも、「どのような求人があるのか探すために登録する」という使い方もできます。
もしあなたが20代なら絶対におすすめしたいのがリクルートが運営する正社員転職支援サービス「就職Shop」です。
幅広い職種での求人があり、一般的に業界未経験の若手で採用されやすい営業だけでなく、ここでおすすめしている一般職や事務職などの職種での募集も多数あります。
美容部員での経験しかなくて他業種で採用される自信がない20代の方でも安心して利用できるサービスです。
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美容部員が転職する際に書くべき自己PR
自分がアピールしたいポイントは書いただけでは、自己PRは絶対に評価されません。
まず、採用する側の目線になって、どのような人材を欲しているのか考える必要があります。
- 売上アップに貢献する営業職への応募→美容部員としての販売実績を示す必要がある
- 正確性やマメさが求められる事務職への応募→美容部員としてPCを使って在庫管理していたことや働きながら資格を取得したことを言うべき
このように応募する業界や職種によって書くべき自己PRは大きく異なります。
自分が自信を持っていることよりも、企業が求めている点と他の求職者から差別化できる点を盛り込めているか考えるようにしてください。
転職を考えている美容部員の方からいただいた質問
レイズキャリアでは、働き方やキャリアについて悩む方、転職を考えている方からの質問を受け付けております。ここでは転職を考えている美容部員の方からいただいた質問をご紹介します。
美容部員が独立する道はないのでしょうか。(20代女性)
美容部員で培ったメイクや化粧品に関する知識やスキルを活かして、メイクレッスンを行う個人事業主、メイクスクールの講師として独立される方がいらっしゃいます。
いじめがひどいので、美容部員からの転職を考えています。やはり女性ばかりの職場では、人間関係が悪いところばかりなのでしょうか。(20代女性)
美容部員同士がとても良い関係で働いているメーカーや百貨店もありますので、女性ばかりだからといって人間関係が悪くなるということではありません。男女に関わらず少人数の職場だと、問題がある方や合わない方がいると人間関係は悪化しやすいことは事実でしょう。
ノルマがない美容部員の職場はないのでしょうか。(30代女性)
どのメーカーや百貨店においても売上目標がありますので、ノルマというワードを使用していなくても、それぞれの職場で達成するべき目標があるはずです。ただし、そうした目標が個人が達成すべき数値に落とし込まれていない職場はあるでしょう。
美容部員からメイクアップアーティストになる選択肢もあるというネットの記事を読んだのですが本当でしょうか。(20代女性)
この記事で紹介したような営業職や事務職といった職種と比較して、メイクアップアーティストの絶対数はとても少ないです。また、専門学校や養成学校などからメイクアップアーティストなることが一般的です。美容部員経験者であっても、メイクアップアーティストになるのは難しいのが現実でしょう。