美容師には辞めたい理由がたくさん!
人材の入れ替わりが激しい美容師業界には、辞めたい理由も多くあります。
長時間労働
美容師は営業時間外も準備や練習に多くの時間を費やしています。
カットやカラー・パーマの練習は営業時間外にすることが当たり前です。会社はこうした時間を労働時間に含まないことが一般的なので、残業代などは発生しません。
練習のために、閉店後2時間程度もしくはそれ以上の時間をかけることは珍しくありません。
低賃金
長時間労働に加えて低賃金なので、時給換算すると最低賃金以下というアシスタントは少なくありません。
美容師の給料・平均年収は低い?時給換算した結果、ボーナスの有無を解説!
指名が多く入り高給取りの美容師、自分の店舗を持った生活に余裕のあるサロンオーナーはごくわずかで、美容師の大半が金銭的に苦しい生活を送っています。
出費が多い
給与が少ないにも関わらず、仕事のための出費も多いのです。練習用のウィッグやハサミなどの用具は、自費で購入しなければならないこともあります。
ウィッグは安い人工毛のものであれば3,000円ほどで購入可能ですが、人間の毛を使用したものであれば1万円ほどします。練習量の多い人だと月数万円の出費となります。
ハサミは10万円弱くらいが相場で、これを数丁揃える必要があるため、最低でも20万円ほどは必要になってきます。給与の少ない新人にとっては大変大きな出費です。
またルックスにも気を遣う必要がある職業ですので、被服費や化粧品代もある程度必要になってきます。
福利厚生が充実していない
美容師業界でも問題になっているのが、福利厚生の少なさです。
健康診断を行っていない、社会保険料を払ってくれない美容院も多いのです。
その場合、健康診断を受けたいのであれば実費で行い、年金や保険料も自分を支払うことになります。
産休や育休に対応していない
福利厚生のうち、特に女性が頭を悩ませるのが、産休や育休を取り入れている美容院が少ないという点です。
長期の休みを申請すると退職扱いになってしまうこともあり、復帰が難しいという理由でそのままキャリアを諦めてしまう方もいます。
休みが少ない
各美容師に週一日の休みが設定されていることが多いですが、セミナーへの出席、カットの練習などによって数少ない休みも潰れてしまうことが多いのです。先輩のコンテストの準備、撮影会の手伝いに駆り出されることもあります。
新人の場合は1日フリーの日が確保できたとしても、疲れをとるために寝るだけということも多く、プライベートを充実させることは難しいです。
人間関係に悩んでいる
美容師業界は実力が求められる社会です。そのため職人のような価値観を持った人も多く、上下関係も厳しくなりがちです。
そんな環境では、実力を磨いていくことはもちろん、先輩にうまく教えてもらうこと、同僚の中でうまく立ち回ることが欠かせません。
個性がある方・こだわりが強い方も多いので、同僚や先輩と「付き合っていくのが難しいな」と感じる方もいるでしょう。
アシスタントの下積み期間が辛すぎる
新人アシスタントの場合は、髪を切らせてもらえる機会はなく、タオルの洗濯などの雑用やシャンプーが業務のほとんどを占めます。
それを何年も続けなくてはならない事実を知って「髪を切るために美容師になったのに」「イメージと違う」と思ってしまう方は少なくありません。
外から見た時には華やかでも、実際に働いてみると店舗に長時間拘束され同じ雑務の繰り返しに直面して、絶望してしまうのです。
クレームで落ち込む
努力してお客様を付けてもらえるようになっても、最初のころはなかなかうまくいかないものです。
「指定したカラーと違う」「写真のパーマみたいなふんわり感がない」「短すぎるんですけどどうしてくれるんですか」などのクレームを経験することもあります。
中には、「髪質が違いますので写真を全く同じようにするのは難しいです」と最初に断ってもおいても文句を言ってくる方や、「家で同じようにセットできない」と数日後に言ってくるクレーマー気質のお客様もいらっしゃいます。
これらのクレームを減らすためには、技術を磨く、お客様とのやりとりに細心の注意を払う他ありませんが、「あなたに頼まなければよかった」といったことを言われると、落ち込んでしまうのも無理はありません。
手荒れと腰痛
美容師特有の身体的な悩みもあります。
特にアシスタントの方は1日中シャンプーをしていることも多く、乾燥肌であれば酷い手荒れに悩むことになります。
また、腰痛により美容師を続けることを諦める方もいらっしゃいます。立ちっぱなしかつ腰に負担がかかる姿勢を強いられるので、腰痛になりやすいのです。
腰痛を回復させるためには、腰に負担をかけない姿勢を取ることが重要ですが、休みが少ないので十分な治療をすることもできず、どんどん悪化してしまう傾向にあります。
美容師を辞めたいと思った時の判断基準
美容師を辞めるべきか否かという判断基準は、各々が設定すべきことは大前提ですが、在籍年数ごとに目安となる考え方、美容師として長く働き続けている方の退職への意見をご紹介します。
美容師になって1ヶ月〜1年未満の場合
就職してから1年未満で辞めたいと思っている方法は、下積みの辛さに耐えられそうにないといった状況でしょう。
ただ時間やお金をかけて美容師としてのキャリアをスタートしているかと思いますので、突発的な判断は危険です。
目の前の仕事は辛くても、あとどれくらいの期間頑張れば何ができるようになるのか、といった先のことを考えてみるとモチベーション維持に有効です。
美容師になって3年未満の場合
美容師として数年勤務をした方であれば、なかなかスタイリストになれない、自分が習得したい技術が身につかないと悩んでいるでしょう。
この場合もどのテストをクリアすればスタイリストになれるのか、どんな練習をすれば必要な技術が身につくのか、というように悩みを一つ下の次元に落としてみると良いです。
先輩の多くが同じような悩みを抱えた経験があるはずですので、身近な人に相談してみることもおすすめです。
美容師になって3年以上の場合
ある程度美容師としてのキャリアを積んできて、辞めたいと思っている方は、給与やキャリアの不安を抱えていることと思います。
これくらいのキャリアを積んでいると、美容院からしても重要な人材になっているはずです。給与面で不満がある場合には交渉する余地も十分あります。
スタイリストになってから辞めるべき?
美容師業界の人の意見としてよく聞かれるのが「スタイリストになってから辞めるべき」というものです。
まず、アシスタントのうちに辞めてしまうと、中途半端な状態で辞めるイメージが付いてしまいます。スタイリストとして1年でも経験を積めば、他の美容室への転職がしやすいです。
お客様との関係もスタイリストになってから本格的に構築することができるのでやりがいも出てきます。逆にそれでも辞めたいと思い続けるのであれば、美容師が向いていなかったと判断できます。
美容師自体を辞めて他業種に転職するにしても「美容師として一通りの技術は習得した」「スタイリストまではなったけど自分には向いていなかった」という状態で辞めることができるので、後悔が残りにくいです。
自分で期限を設定する
勤続年数に限らず、辞めたいと思った時は自分で期限を設定してみましょう。美容師の退職にはいろいろな意見がありますが、他業種に転職するのであれば若いほど有利です。
自分が納得した条件に到達して、美容師に未練が無いのであれば、早めに動き出した方が良いです。
美容師業界の現実
美容師を辞めたいと思った時に考えたい点である、美容師業界が実力社会であることと、将来のキャリアが不安定であること、について解説します。
美容師業界は実力社会
美容師は入った1年目から実力が物を言います。
アシスタントの期間は、美容室や人それぞれで、短ければ2〜3年、長ければ5年になります。なかなかスタイリストになれない人はこの時点で数年のアドバンテージを背負うことになります。
スタイリストとして仕事をこなすようになっても、求められる結果はシビアです。お客様からの指名が入るか、リピーターになってくれるかという結果が全ての世界です。
そのために求められるのは、技術を向上するための努力だけではありません。お客様の心を掴むコミュニケーション能力、膨大な業務を要領よくこなす能力が求められます。
美容師のランクを全て解説!アシスタント・スタイリストの業務内容・給料の違いとは?
このような厳しい競争を勝ち抜いて成功する人・有名になる人は、もはや仕事を頑張っているという意識がありません。
美容師の仕事それ自体が好き、それを続けること自体が生きがいとなっているのです。
「美容師を辞めたい」と思った時点で、そういった人たちに勝つのは難しいと言わざるをえません。
厳しい実力社会を戦っていく自信がないのであれば、辞めるのも賢い選択です。
キャリアが不安定
給与が低くても20代で独身であれば、なんとか生活できるでしょう。
ただ、30代・40代になっても、雇用された美容師として働き続ける場合はどうでしょうか。平均年収が280万円といわれる美容師業界ですので、30代・40代でも年収400万円以下という人が多くいます。
結婚や家庭を考えた時に、金銭的な不安が多いことはもちろんのこと、自由な時間が少ないということも大きなデメリットです。
このまま長時間労働・少ない休日でも働き続けられるのか、そうでないなら独立という選択肢はあり得るのかを考える必要があります。
「逃げるのはかっこ悪い」「途中で投げ出すのはよくない」「一つのことをやり続けた人が立派だ」ということを言う人はいますし、そういう風潮もあるかもしれません。
ただ自分に向いていない場所で頑張ることが賢い選択とは言えません。将来を見据えて辞めるというのは立派な決断です。
美容師の転職で心がけたいこと
美容師が転職する際に心がけていただきたいのは、これまで培ったものが活かせる転職先を探してみる、できる限り仕事を続けながら転職活動を進める、という点です。
接客力が活かせる転職先を探してみる
新しい業界・業種に転職するにしても美容師の接客力が活かせる仕事は存在します。
おすすめの転職先など美容師の転職については以下の記事で詳しく解説しています。
美容師からの転職理由・体験談をご紹介!事務など異業種へ就職できる?
仕事を続けながら転職活動をする
給与が低く貯金が難しい美容師が転職する際には、仕事を続けながら転職活動をすることがおすすめです。
美容師を辞めてしまってから転職活動を始めてしまうと、貯金が底をつきそうだからという理由で転職先を決めてしまいかねません。
美容師としてのキャリア自体は、他の業界では評価されないことがほとんどですので、転職先で長続きしないと次の転職はさらに難しくなります。
忙しい中で難しいとは思いますが、納得した転職先を見つけるためにも金銭的に余裕をもった状態で転職活動を進めましょう。
美容師の転職でよくある失敗
辞めたい理由を深掘りしない、美容師として何も得られずに転職することは、失敗や後悔につながります。
辞めたい理由の誤解
美容師を辞めたいと思っても、美容師業界内で転職するという選択肢を忘れてはいけません。
辞めたい理由が、美容師という職業自体に起因しているのか、自分が勤めている美容院に起因しているのか考えてみましょう。
人間関係が辞めたい原因であれば勤める美容院を変えることで改善される可能性が高いですし、給与や休日に関しても業態や店舗によってある程度改善が見込めます。
現在勤めている美容院が一つ目なのであれば、他の美容院に転職してみることがおすすめです。他の美容院で働いている友人・知人に労働環境を聞いたり悩みを聞いてもらうことも参考になります。
安易な決断をしてしまう
辞めたいと思ってから、短期間で退職に踏み切ることはおすすめできません。
美容師になったばかりであれば、カットの練習や接客がうまくいかない、という悩みは誰もが抱えるものです。
うまくいかなくて当たり前ということを受け入れて、どうすれば克服できるのか考えていただきたいです。
また、アシスタントだったとしても立派な戦力として数えられています。
卒業式・入学式シーズンの3月・4月に急に辞められてしまうと勤務先の美容院に負担がかかります。円満に退職するためにも、繁忙期を避け余裕を持って話を進めたいところです。
美容師として何も身につけられなかった
後悔していることとして転職した人からよく挙がるのが、スタイリストになる前に辞めてしまったということです。
専門学校を出て何年か美容師に勤務していたのに、髪を切ることができないというのは、その人自身にもわだかまりが残るようです。
将来、家族や身の回りの人の髪を切る機会があっても満足に切ることができないことを惨めに感じてしまうのは想像に難くありません。
ある程度までやれば後悔が少ない、スタイリストまでやれば美容師として復職できる、という点は覚えておくと良いでしょう。
美容師の仕事内容や転職についていただいた質問
レイズキャリアでは、転職に関する質問を募集しています。ここでは、美容師の仕事内容や転職についていただいた質問と回答をご紹介させていただきます。
現在スタイリストを目指して働いているのですが、労働時間長くてしんどいです。他の美容院と比較したいのですが、一般的なアシスタントの1日ってどんな感じでしょうか。
(20代女性)
営業時間が11〜20時の店舗を想定して、美容師のアシスタントとして一般的な1日の流れをご紹介します。営業時間中は、受付やシャンプー、先輩スタイリストの手伝いを行います。営業時間後は、掃除やレジの締め作業を行うので全ての業務は21時ごろに終了します。アシスタントのほとんどがそこから練習を行います。練習の終了時刻は人により異なりますが、終電で帰る方も多いです。
現在アシスタント3年目ですが、なかなかスタイリストになれず心が折れそうです。これは業界内では遅い方でしょうか。
(20代女性)
下積みであるアシスタントの期間は、平均3〜4年と言われています。しかし、下積みが2年で済む場合もあれば、5年かかる場合もありますので、店舗の方針やその人の実力次第でしょう。
美容師から事務職に転職したいのですが、難しいでしょうか。
(30代女性)
事務職は非正規の求人が多くかつ人気が高いため、正社員として事務の仕事をするのは簡単ではありません。医療事務などの資格をとって強みを作る、まずは非正規雇用で働いていて経験を積むなどのステップを踏むことが必要でしょう。
現在28歳ですが、正社員募集の求人に応募してもなかなか受かりません。この年なので、できれば正社員として仕事をいただきたいのですが。
(20代男性)
派遣紹介予定求人という仕組みを利用してはいかがでしょうか。初めの数ヶ月は派遣社員として働いて、適性があると見込まれれば派遣先の企業で正社員として雇用されます。求職者と企業の双方にとって試用期間があることになりますので、ミスマッチが生じにくいです。派遣切りにあったとしても履歴書に悪影響がない、派遣会社から他の企業を紹介してもらえるというメリットもあります。