保育士に向いていないと考えてしまう理由
保育士を目指していた時には、子供と楽しく過ごしながら保育をする様子を思い浮かべていたと思います。
しかし、実際に保育士として働きはじめてみると、楽しいことばかりではありませんよね。
イベントや行事の準備が大変だったり、事務作業が想像以上に多いことに驚いているかもしれません。職員や保護者との人間関係も大変ですね。
まずは、保育士に向いていないと考えてしまう理由を挙げていきます。
体力的についていけない
保育士は想像以上に体力勝負の職種です。
勤務中は、立ちっぱなし、動きっぱなしであることはもちろん、子供を抱っこするなど筋力も必要です。子供たちの背丈に合わせて中腰でいる時間も長いです。
そのため、職業病として、腰痛や慢性疲労を抱えている保育士は多いです。
また、常に気を張っていなければならないという精神的な疲れも感じやすいです。
体力に自信がない方は、食事、睡眠、風邪の予防など日頃の体力づくりから見直してみましょう。
工夫しても体力的に厳しい場合は、パートや保育補助として働く選択肢もあります。
収入は少なくなるものの、働く時間や日数が選べますし、残業が発生することもありません。
保育において苦手な面がある
子供を預かっている時には、あらゆることが保育士の仕事になります。
苦手意識を感じてしまう方が多いのが、子供のおもらし、嘔吐物、排泄物の処理です。
最初はなかなか慣れないことで「続けられないかも」と考えてしまうかもしれません。
しかし、何度も経験を重ねていくことで必ず気にならなくなります。
手際の良い先輩を真似するなど効率的な方法を身につけつつ取り組んでいきましょう。
それでも苦手意識が拭えない場合は、配置換えをお願いするという手もあります。
幼児クラスと乳児クラスにおける業務は大きく違います。
年度の途中でクラスを変えることは難しいかもしれませんが、次の年度に向けて「違う年齢の子どもたちの保育も経験したい」と伝えれば、希望を尊重してくれる保育園は多いです。
子供を向き合うことに苦手意識が出てきた
保育士になった方であれば、子供好きがほとんどだと思います。
しかし、保育士は子供の遊び相手ではなく、子供の成長をサポートする専門職です。
甘やかしてばかりではなく、しかるべきタイミングで叱ることも必要です。
自分の好き嫌いを抜きにして、全ての子供と分け隔てなく接する姿勢も求められます。
子供に向き合うことに対して、責任とプロ意識を持つ必要がありますね。
コミュニケーション能力がない
全ての言動において、保育士は子どもたちのお手本です。コミュニケーション能力もその一つです。
正しい言葉遣いや社交性を意識して子供たちとコミュニケーションをとっていく必要があります。
また、業務において保護者や近隣の方と滞りなくやりとりしなければなりません。
保護者と話す際には、ご家庭で抱えている不安や悩みを聞きつつ、保育園として、また一人の保育士として、どのように子供と接していくか伝える必要があります。
時には、連絡帳やお知らせのお手紙など書面でのコミュニケーションも求められますね。
このように信頼関係を構築していくことによって、ご家庭と保育士が安心して子供の成長を見守っていくことができます。
近隣住民とのトラブルも避けなければなりません。
日常の騒音問題や送迎におけるマナー、イベントでの配慮など、保育士が考えるべきことは多いです。
地域住民の方と話す機会は多くないからこそ、保育園への理解を促すようなコミュニケーションを簡潔に行う必要があります。
明るく前向きな性格ではない
職員間の人間関係や保護者への対応など、保育士には悩みのタネがたくさんあります。
それでも気持ちをうまく切り替えて、保育中はいつでも笑顔で接する必要があります。
感謝を伝える言葉や肯定する言葉は、子供たちの健全な成長に役立ちます。
どうしても感情にムラがあって、イライラしやすくなる時期がある方もいると思います。
こうした方はポジティブになれる生活習慣を取り入れてみましょう。
ストレス発散の機会をつくる、無理にでも笑顔になる、ランニングなどの運動をする、といった習慣は精神的な安定をもたらすことが分かっています。
自分の精神状態を管理することも仕事の一部と考えて取り入れてみてください。
事務作業がうまくいかない
書類を使って、子供たちの記録や保育計画を管理することも保育士の大切な仕事です。
子供たちの成長をサポートし、安全な保育を進めるために不可欠だからです。
それでも、計画書や報告書などの書類に十分な文章を書くことが苦手という方は多いです。
文章が少ないと、子供をよく観察していないのではないか、やる気がないのではないかと思われかねません。
月末に書類を書く段階になって、子供たちの様子を詳細に思い出すのは難しいです。
日頃から、気づいたことはメモする習慣をつけましょう。
また、保育に関する知識を身につけることもおすすめです。
保育関連の雑誌を見ることで、子供たちを見るポイントが分かります。計画書や報告書の書き方の例が掲載されていることもあります。
「うまくいかない」と感じている保育士に知ってほしいこと
保育士に向いていないかもしれないと悩んでいる方には、先輩や同僚から「保育士に向いていない」と言われたというケースが多いです。
実はこのような場合、あなたが保育士に向いていないということは少ないです。状況別に解説していきます。
保育園の教育体制が整っていない
まずは新人の保育士に知っておいてほしい、保育園側に問題あるケースについてです。
保育士の資格を取得したからといって、新人の保育士がすぐに業務がこなせるわけではありません。
働き始めたばかりのころは分からないことだらけだと思います。
最初は、間違った行動やミスをしてしまうこともあるでしょう。
それだけで「保育士に向いていないんじゃない?」と言ってくる同僚や主任は間違っています。
長く働いている同僚や主任には、新人の保育士を育てる責任もあるからです。彼女・彼らこそが、上の立場に立つ保育士として「向いていない」のです。
こういった保育園で新人の保育士が成長をしていくのは難しいので、見切りをつけるべきかもしれません。
保育園の方針に合っていない
子供への向き合い方や言葉のかけ方など保育中の様子を見て、「保育士に向いていない」などの言葉をかけられてしまうケースについてです。
この場合、現在勤めている保育園の方針に合っていないだけ、という可能性が高いです。
あなたの保育に対する価値観と、保育園の方針や他の保育士と考え方が違うのは悪いことではありません。
働く場所を選ぶのを間違えてしまっただけです。
自分に合わない保育園で働いていると、あなたと周りの方どちらにもストレスがかかりますし、何より子供にもよくありませんよね。
まずは自分の保育に対する価値観を明確にした上で、保育園の方針や他の保育士の言動を比べてみましょう。
自分に合っていない保育園と判断したのであれば、転職を検討するべきといえます。
今すぐ診断!保育士に向いている人の特徴
保育士に向いている方の特徴として以下のものが挙げられれます。
- 子供好き
- コミュニケーション能力がある
- 細かい変化に気づく
- 人前で話すことが得意
- 体力がある
- 細かい作業が得意
ただし、これらを全て満たした保育士なんてほとんどいません。自分に自信がない新人の方も、心配しないでくださいね。
業務における苦手項目やコミュニケーションに関しては、勤めているうちに慣れていきます。
そのため実際のところ、最初の項目にある「子供が好き」という点さえ当てはまっていれば、保育士という仕事への適性がある人、保育士に向いている人といえます。
保育士は個性があってしかるべき
そもそも保育園は、親が保育をすることができない時間帯に親の代わりに保育をする場所です。
親に向いている人、親に向いていない人と分類することはありませんよね。保育士も同様です。
苦手な業務があっても問題ありません。親にも個性があるように、保育士にも個性があって当たり前なのです。
実は性格は関係ない
例えば、元気に話すのが苦手で静かなタイプの方を考えてみましょう。
確かに明るい保育士の方は、最初の印象が良く子供たちからも好かれやすいかもしれません。保護者の第一印象も良いでしょう。
それでも、しっかりと子供たちを観察できる特性はもっと大切です。
そういった保育士の方であれば、子供たちからも信頼される、保護者の方も安心してくれるのは当然ですよね。
落ち着いた保育士が好きな子供もいるので、明るい先生ばかりいれば良いというわけではないのです。
自分の短所に目を向けるのではなく、長所を見つけることで良い保育士になれるはずですよ。
保育士という「働き方」が向いていない人はいる
業務に対する適性があっても、給与をはじめとした保育士の待遇や働き方に不満あるのであれば、保育士に向いていないと言えます。
業界構造上、保育士の給与が劇的に上がることはありません。手取りで20万円前後という保育士が大半です。
また、保育園という狭い職場での人間関係はうまくいかないと考えている方、1年以上保育士を続けて保育が苦手だと分かった方も向いていないと言えるでしょう。
このように保育士の働き方に限界を感じているのであれば、転職する必要があるといえるでしょう。
保育士の転職については以下の記事で解説しています。
保育士からおすすめの転職先とは?一般企業、異業種も可能です!
保育士に向いているか悩んでいる方からいただいたご質問
レイズキャリアでは、働き方に悩んでいる保育士の方からの質問を受け付けています。ここでは保育士に向いているか悩んでいる方からいただいたご質問を紹介します。
どうしても大勢の子供の前で大きな声で話すことができません。何か解決策はありますか。
(20代女性)
学生時代から静かな性格だった方は、大きい声を出すことに慣れていないかもしれませんね。まずは大きな声を出す機会を作るためにカラオケなどに行ってみたらよいかもしれません。複数の子供の前で話す機会を増やすために、自由時間に読み聞かせの機会を増やしてみてもよいでしょう。
イベントにおける製作や壁面の装飾が苦手なのですが、どうすればよいでしょうか。
(30代女性)
かわいい装飾やグッズの製作方法は、保育雑誌を参考にすることがおすすめです。また、全てオリジナルで作る必要はありません。素材を大きくプリントしたものを利用する、子供たちが装飾できるものを作るという手もあります。例えば、壁面の装飾においては、森や海をイメージさせる壁面を用意します。ここに子供たちに生き物を書いて貼ってもらうようにすれば、装飾が苦手な方でも簡単に作成できます。
保育士2年目ですが、やっぱり自分は保育士に向いていないと思ってしまいます。もう少し頑張ってみて他の職種に転職するか考えようと思うのですが、いつ決断するべきでしょうか。
(20代女性)
保育士が転職する時期として多いのが、3〜5年目です。これくらいの年数続ければ、複数のクラスも受け持ち、保育の業務は一通り経験したことになります。これでも保育士に向いていない、続けられないと考えたのであれば、決断すべき時期かもしれませんね。
保育士の実習が辛いです。子供の前で話すこと、声をかけることに緊張してしまい、自分は保育士に向いていないと思います。
(20代女性)
まず保育士の実習では、慣れないことをするので辛い思いをすることは当たり前です。保育士になって保育を続けているうちにほとんどのことは慣れるはずです。実習があまりにも辛くて保育士になりたくないと思っても、保育士の資格は取ることをおすすめします。保育園で働かなくても、保育士の資格を持っておくことはその後のキャリアにおいてプラスにはなってもマイナスにはなりません。