長距離トラックドライバーとはどんな職業?短・中距離との違いも解説
深夜の高速道路を滑走して、遠くまで物を運ぶイメージがあるトラックドライバーですが、すべてのトラックドライバーが長距離を運転しているわけではなく、明確に役割分担がされています。
長距離トラックドライバーとは
一般的に指定先までの片道距離が300kmを超えるルートをトラックで運ぶのが長距離ドライバーです。運ぶ荷物を搬入したり荷下ろししたりする場合もありますが、基本的に業務は運ぶことのみで指定先も一か所である場合が多いのが特徴です。
運ぶものは贈答物から引っ越し荷物、業務用薬品等の危険物まで、その時、その企業によりまちまちです。扱うものによって、運転免許以外にも特定の資格が求められることがあります。
勤務時間のほとんどはトラックの車中で過ごすことになります。夜通し運転する場合が多く、必要以上の会話やコミュニケーションは必要としません。自分一人の空間で仕事ができる反面、到着時間は厳守しなければならないので時間管理能力が問われます。
長距離以外のトラックドライバーとは
300kmを超えるルートを担当する長距離ドライバーに対して、短~中距離ドライバーは半径約50~200km以内の範囲を担当するのが一般的です。
荷物の積み下ろしや検品、指定先の情報収集(例えば指定先がコンビニであれば、POS情報には上がってこない店舗情報)など、ある程度運転以外の業務をこなす能力や相手とのコミュニケーション能力が必要とされます。宅配便のセールスドライバーなどがこれに当たり、複数の指定先を回ります。
運ぶものは長距離と比べると小さいもの、小ロットのものとなり、特殊な資格を求められるケースは滅多にありません。比較的日中に活動する場面が多く、何件回ったかが業務の指標となるケースが多いようです。
長距離にしろ小中距離にしろ、運送会社、倉庫会社、引っ越し会社、産業廃棄物や清掃を扱う会社等々の企業に所属する場合が一般的です。
長距離トラックドライバーにはどんなやりがい・魅力があるのか
ご存知のように日本中で毎日多くのトラックが走っています。もしこれらのトラックがなければ人々の生活に多大なる支障をきたすことでしょう。
やりがい
休むことが許されない物流シーンをアナログ(マンパワー)で支え続ける責任こそがこの職業のやりがいではないでしょうか。デジタル化が進む現代において、デジタルでは補えない仕事です。自分の運転で困っている人たちの役に立てるため、貢献度は非常に高い仕事です。
魅力
捉え方は人により様々ですが、長距離ドライバーの魅力は何といっても1人での時間が多く、人間関係に煩わされることが少なく、他人がいない空間で仕事ができることです。指定されたことをこなせばとやかく言われることは基本なく、余計な忖度も必要ないわけです。
加えて良くも悪くも時間の使い方は任されています。業務を早く終わらせることができたならその後は自由時間になるケースもあります。
長距離トラックドライバーの労働時間・休憩
長距離ドラックドライバーと一口に言いますが、勤務パターンは企業によっても荷主によっても違ってきます。以下は一般的な勤務形態を例として記載します。参考にしてください。
長距離トラックドライバーの労働時間・休憩について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
長距離トラックドライバーは必要な休みが取れていない?労働基準法も解説!
出勤から出発まで
所属企業の事務所へ出勤します。出勤簿に打刻し、その日の指定先と荷物内容の確認を行います。なお勤怠に関しては働き方改革の影響もあり、クラウド管理するところも増えているようです。
積み込み場所が所属企業の事務所でない場合もあるため、積み込み先と荷下ろし先の双方の指定先を確認します。トラックの出発前点検とドライバー自身のアルコールチェックをして業務開始です。
積み込み
積み込み先が別の場所である場合は、その指定場所に向かい、積み込みを行います。自身で積み込みをする場合や共同で作業する場合もあれば、重量があったり、取り扱いに注意する必要があったりする時は指定先作業員の方に積み込みをお任せる場合もあります。
荷下ろし先へ出発
積み込みが完了したら、小休憩後、荷下ろし先へ出発します。休憩については所属企業から指示がありますので、走行中は指示に従ってこまめに休憩を入れ、場合によって仮眠もとります。
特に高速道路上の場合は事故率が上がりますのでナビやラジオ等を使いながら交通情報を参考に時間管理しながら運転に支障の出ないよう注意します。
荷下ろし先到着
目的地に到着したら納品処理をして、所属企業へ完了報告をします。GPSや独自の報告ツールによりドライバーの手数がかからないような方法を導入している企業もあります。
その後、荷下ろしした場所で新たな荷物を積み、復路途中で荷下ろししたり、そのまま所属企業の事務所まで戻ったりします。帰る際にも人件費・燃料費はかかりますので、ただ帰ってくるだけの状態がないようなスケジュールが組まれています。運転時間が長い分、複数箇所を回ることはほとんどありません。
運転導線がシンプルな分、ドライビング技術や時間通りに送り届ける責任の度合いは大きく、業務中はゆっくり休憩できない場合もあります。
夜間走行の場合、この一連の流れを20時~翌10時の間でこなしていきます。
長距離トラックドライバーの平均年収は?「給料が安い」は本当か
長距離トラックドライバーの報酬額は月額30~60万円、もろもろの手当てを含めた年収は450~750万円と言われています。トラック運転手の平均が、月額25~30.3万円、年収では350万~486万円ですので、トラックドライバーの中で長距離トラックドライバーのは高給取りの部類ではないかと思われます。
トラックドライバーの給料に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
長距離トラックドライバーの給料は高い?平均年収・大手を選ぶべきか解説!
なぜ長距離トラックドライバーの給与は安いと言われているか
それでも長距離トラックドライバーの給与は低いイメージがあります。その理由は以下の4つが考えられます。
拘束時間
一般企業に勤めるサラリーマンの平均年収が414万円であることから考えると長距離トラックドライバーの年収は一見悪くないように思います。ただし、長距離ドライバーは拘束時間が長いため、時給換算すると割に合わないという声がある理由が分かるでしょう。
歩合制
大手宅配会社や引っ越し会社などは基本給+歩合(手当)もあるようですが、規模が小さくなるにしたがって歩合比率が上がります。やればやるだけ稼げるので、やる気がある人にとってはぴったりなシステムに思えますが、全員が頑張れるわけではありません。
例えば、ある企業の中で複数名がチームを組んで業務にあたるときがあります。コンビニやスーパーなど年中無休の荷主の場合は運送チームも昼シフト/夜シフトを設定し、休むことなく業務を進めます。昼よりも夜のほうが歩合や手当は高いので夜シフトの報酬額は必然的に高くなります。
しかし稼ぎたい人は報酬額が高い夜専門のドライバーになればよいかというとそうはうまくいかず、企業や管理者はチームでバランスよくシフト組みをする必要があります。そうしなければ、「Aさんだけ夜間のシフトが多く入ってこっちには全然回ってこない」とか「Bさんは遠方が多いから手当てが多い」等々、いわゆる「ひがみ」が蔓延し、離職につながるからです。
ただでさえ人手不足の昨今において、企業にとって人材流出はなによりも防ぎたいことです。これが長距離トラックドライバーが稼げない理由です。
当たりはずれがある
会社によっては荷主からの委託金(運賃)でドライバーの報酬額が決まります。どんなに同じ距離を走行しても「運賃」が安い仕事ばかりしていると「運賃」の高い仕事と比較すると差は開いていきます。
さらに高速道路を使えるのか使えないか等の条件によって業務効率も違ってきます。一概には言えませんが高速道路が使えればその仕事は「時給換算すると報酬が高く、楽になる」可能性が高くなります。
評価軸
ドライバーの評価は大抵の場合、運ぶ件数をいかに多くこなすかだと言われています。報酬額を高くしようとすると件数や報酬の高い当たりの仕事を多くこなすしかなく、定期運送等で浮き沈みの少ない安定した件数を多くこなしてもそれ以上の昇給は望めません。
年齢によるパフォーマンスの限界もあり、規模の大きな企業で昇給していく制度がない限り、長い目で見ると大幅な報酬アップは望めないのが現状です。
長距離トラックドライバーに向いている人と向いていない人の特徴
シンプルな仕事だけに人材の許容幅は広く感じますが、免許があれば誰にでもできるわけではありません。ここでは向き不向きを紹介しますが、あくまで目安です。参考程度にご覧ください。
長距離トラックドライバーは過酷、きついと言われることがあります。その理由について知りたい方には以下の記事がおすすめです。
運転することへの適正
拘束時間中はほぼ運転です。「運転が好き」だけではうまくいかない場合はありますが、「運転はあまり好きではない」というよりは「運転大好き」という人の方が当然向く職業です。
自己管理能力
長距離トラックドライバーは基本一人で仕事を行います。与えられた納期までにいかに早く安全に届けられるかが大切であり、それをコントロールするのは自分のみです。だからこそミッションに対しての責任意識は必須です。
周りの環境に左右されないおおらかさ
煽り、無理な追い越し、など運転していると周りからの様々な刺激に遭遇します。それにいちいち反応していると長い運転では気持ちがもちません。周りの環境に左右されないおおらかさも持ち合わせたいものです。
ドライバー職へのセンス
研修期間中に先輩ドライバーについて横乗りをする場合があります。この横乗り研修期間が長いのか短いのかによってドライバー職へのセンス、まさに向き不向きがある程度わかります。仮に研修期間が他の人より長い場合は人より早く出社して覚えた業務を復習するなど業務に慣れる努力も必要です。
一般常識
運転が主業務だとしても荷主やクライアントとのコミュニケーションは必要であり、そこを無視して非常識な行動をとると所属会社に不利益を与えることにもなりかねません。常に見られている意識が必要です。この辺は営業職と似てますね。
いつでも寝られる図太さ
なんだかんだ言って、トラックドライバーは体力がものを言います。特に長距離トラックドライバーはいつ寝られるかわからない場合もあります。寝られるときに寝られる図太さも必要です。神経質すぎる人はきついかもしれません。
長距離トラックドライバーに未経験可の求人はある?就職条件をまとめました
経験があればそれに越したことはありませんが、未経験可の求人は多くあります。ただし最初から単独で仕事ができることはほぼないでしょう。
大手企業であれば、研修制度が充実していたり、手当ての種類が多く用意されていたり、待遇は他の業種と遜色ありません。長距離トラックドライバー職に就くための必要条件を以下に記載します。
大型/中型運転免許保持
大型/中型運転免許を持っていれば大抵の貨物積載車を運転する能力はあるといえます。業務としての経験がなくても応募資格としては十分です。加えてフォークリフト免許もあればさらに優遇されます。
免許を持っていない場合でも会社負担による免許取得や各種講習を福利厚生の一つとして行う企業もあります。
短/中距離ドライバー経験
長距離をやってみたいけど、いきなりはしんどいな、と考える方は、一旦短/中距離ドライバーで実績を積み、長距離ドライバーに転職する方法もあります。トラックドライバー業界ではこれをキャリアアップととらえます。
短/中距離ドライバーの場合、やる気があれば免許なしでも採用されるケースもあります。
長距離トラックドライバーへの転職が不安な方へ
長距離トラックドライバーへの転職に興味があっても、給料や労働条件などの不安を抱えている方も多いと思います。
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長距離トラックドライバーについていただいた質問
レイズキャリアでは、あらゆる職種の悩みや疑問に関する質問を受け付けております。ここでは、長距離トラックドライバーについていただいた質問と回答をご紹介させていただきます。
長距離トラックの運送では深夜に走ることも多いですが、眠気に襲われた時にはみなさんどうしているのでしょうか。
(30代男性)
音楽やラジオの音量を上げる、顔を叩いたりつねったりする、誰かと電話をする、ガムなど何かしら口に入れる、コーヒーを飲む、といった方法が一般的でしょう。中には、パーキングエリアで知らない人に話しかけて刺激を作る、観光バスに乗り間違えたふりをして恥ずかしい思いをする、といったユニークな方法を実践している方もいます。しかし、耐えられないほどの眠気を感じたら、多少遅れそうだったとしても仮眠を取ることが一番です。毎度のことでなければ会社側も理解してくれますし、配送先には渋滞による遅延として伝えることもあります。
長距離トラックの仕事はやりがいがあるだろうなぁとは思うのですが、業務自体は楽しいですか。
(50代男性)
運転中は、音楽やラジオを流したり電話したりすることは自由ですので、自分なりに楽しむことができるでしょう。渋滞している時に自分の経験をもとに目的地に早く到着できる道順を考えて、時間通りに業務をこなせた時に快感を覚える方も多いです。
歩合制のトラックドライバーだと、給与はどのような内訳が一般的ですか。
(40代男性)
長距離トラックドライバーですと、月20〜25万円の基本給に加えて、自分が走った分の売上から30〜40%が歩合として加算されることが多いです。
長距離トラックドライバーへ転職活動中なのですが、志望動機や自己PRではどんなことを書くべきでしょうか。
(30代男性)
ドライバー職の中でも体力が必要ですので、長距離トラックドライバーへの熱意とともに体力があることを伝えるとよいでしょう。ドライバー職業の経験があるのであれば、長距離の運送に挑戦したくなった理由、これまでしっかりと勤めてきてドライバー職に適正があることをアピールしてください。