長距離トラックドライバーがきつい・過酷と言われる理由とは?
では、まず長距離トラックドライバーがきつい・過酷と言われる理由はどういった点が挙げられるのかについてお話いたします。
仕事内容などトラックドライバーの基本情報について知りたい方は以下の記事をお読みください。
長距離トラックドライバーの仕事内容とは?未経験可の求人はある?
家に帰れない
長距離ドライバーの仕事は日本を縦断しながら物を運ぶことが仕事です。そのため東京ー九州間を移動するなど1日で仕事が完結しないことも珍しいことではありません。
そのため、家に帰れるのが1週間に1回、2回ということも多いですし、睡眠を取る場合はトラックの中というのがもはや当たり前だと言っても過言ではありません。
家のベッドで寝られない日があるという点は、長距離トラックドライバーの仕事が過酷である1つの大きな要因であると言えます。
労働時間が不規則
一般的な会社員は朝9時出社で夜は18時に仕事が終わるというような規則正しい勤務形態になっています。しかし、長距離トラックドライバーの場合は決まった時間に働くわけではありません。
例えば、朝3時から仕事が始まるケースもあれば昼過ぎから深夜にかけて働くケースもあり、労働時間は安定しません。
人間は決まったリズムで働くことができたほうが体の負担が少ないですし、トラックドライバーは土日に定期的に休めるというわけでもないため、そうした勤務形態も過酷だと言われる1つの要因です。
肉体的にハード
長距離トラックドライバーの仕事はトラックを運転するだけではありません。荷物をトラックに積んで、目的地についたら荷物の積み下ろすことも重要な仕事です。
荷物の積み下ろしをすることは、当然力仕事になりますので、肩や腰など身体のあちこちに負担が増えます。
単純に力仕事の要素が大きいのも長距離トラックドライバーの過酷さの一因だと言えます。
車両事故や違反運転は生活を逼迫させる要因になる
長距離トラックドライバーにつきまとうのは交通事故や違反運転です。
交通事故を起こしてしまった場合、その事故による損害を自腹で払わなければならない会社も中にはありますし、何より違反運転で点数がなくなってしまった場合や、一発免停になってしまった場合は仕事ができなくなり収入がなくなります。
車を運転すること自体にもこうしたリスクがありますが、長距離トラックドライバーは長い時間大きなトラックを運転することになるため、そのリスクは高いと言っていいでしょう。
このようにトラック運転手の違反運転、交通事故は生活に大きな影響を与えかねない点も長距離トラックドライバーの仕事が過酷だと言われる要因の1つであると言えます。
「違法な働き方の長距離トラックドライバーも多い」は本当か
長距離トラックドライバーの業界では、違法な働かせ方をしている会社が多く存在しているという実態があります。
では、どのような実態があるのかについてもご紹介いたします。
休みが少ない、取れない
2015年の国土交通省の調査によると、1日の平均労働時間が13時間以上のトラックドライバーが40%近くいて、約10%のトラックドライバーは1週間に1日も休みがなかったという調査結果があります。
法定労働時間の8時間という拘束時間からかけ離れた労働時間で働いているトラックドライバーが非常に多いという現状があります。
有給休暇が取れない
有給休暇はご存知の通り給料を支払われながらも休日を取得することができる制度でどの労働者も法律で取得できるよう定められています。
しかし、トラックドライバーにおいては有給休暇がない、あってもなかなか使うことができないというケースも少なくありません。
特に長距離トラックドライバーは1回の仕事の拘束時間が長くなるため、特に有給が取りにくいという現状があります。
長時間労働で残業代も未払い
長距離トラックドライバーが長時間労働になりがちであることは上述した通りですが、残業代が支払われないというケースも横行しています。
実際、歩合制だから、みなし残業が含まれているからなどといった理由で、残業代を支払わない条件を労働契約時に結ばせるケースも珍しいことではありません。
残業代という観点でも違法な労働を強いられているという実態があるのです。
運送業界の動向、人手不足なのか解説!長距離トラックドライバーの労働環境は改善するのか
現状運送業界は人手不足となっています。
事実、厚生労働省の調査によると、2020年1月のトラックドライバーの有効求人倍率は2.76倍となっており、一人に対し2~3件の求人があるという状況です。
すなわち、トラックドライバーを採用したいのに、採用できていない会社が多いということになり、人手不足に陥っているということになります。
拘束時間が長くなりがちな長距離トラックドライバーは特に人手不足に陥りやすいというのが現状なのです。
この現状はトラックドライバーの待遇改善につながると考えられます。
なぜなら、採用ニーズは高いのに求職者からは不人気でトラックドライバーとして働きたいと考える人がいなくなれば、運送会社の事業が人材不足により継続できなくなってしまい、運送会社としては死活問題になってしまいます。
そのため、長距離トラックドライバーの成り手を増やすための施策として、福利厚生や労働環境を整えてきている会社が増えているのです。
依然としてトラックドライバーの就労環境は過酷であると言っても過言ではありませんが、その労働環境を改善をしている会社も多いのです。
2024年4月から長距離トラックドライバーを始めとした物流業界のドライバーの方々の労働環境が改善されます。具体的には、ドライバーの方々の年間時間外労働時間の上限が960時間(月平均でいうと目安80時間)に設定される法律が施行されます。一方で、今まで残業時間で稼いできたドライバーの方々からすると、今より残業代を含めた給料が低くなる可能性もあります。また、ドライバーの方々一人ひとりの労働時間が短縮されることで、物流の輸送能力が不足し、2023年現在と同程度の輸送能力を今後も保つのが難しいと言われており、これを「物流の2024年問題」と言います。
長距離トラックドライバーのメリット・デメリットをまとめました
長距離トラックドライバーのメリットデメリットをまとめてご紹介いたします。
長距離トラックドライバーのメリット
長距離トラックドライバーとして働くメリットは以下の通りです。
- 色々な土地に行くことができ、いろんな体験ができる
- 全国の道路事情に詳しくなる
- 会社次第では非常に福利厚生が充実した労働環境で働くことができる
長距離トラックドライバーは大変な仕事ですが、色んな土地でその土地の名物を食べることができたり、その地域ならではの経験ができたりします。
しかも、全国の道路を走ることができるので全国の道路事情に詳しくなれます。
旅行に行った時に同伴者に感謝されたり、渋滞に遭遇しない道などを知っていることで効率的に車を運転する知識などを身につけたりできます。
また、福利厚生を充実させている運送会社に就職すれば、良い労働環境の中で働くこともできます。
長距離ドライバーとして働くメリットは実は数多くあるのです。
長距離トラックドライバーのデメリット
では、長距離ドライバーとして働くデメリットは以下の通りです。
- 長時間トラックの運転をしなければならならず力仕事もあるため、身体的にハード
- 業務時間は日により異なるため体の負担が大きい
- 働く会社次第では、休みを取れない、残業代も貰えないなど収入、労働環境も悪くなる
長距離ドライバーの仕事は肉体的にとにかくハードです。
長時間の運転もあれば、荷物の積み込み、積み下ろしなどの力仕事もありますし、労働時間が安定しないため、体がなかなか順応しないという状況になりがちです。
また、働く会社次第では残業代、有給がない、休みもなく過重労働を強いられるなど収入面でも労働環境面でも厳しい状況になってしまいます。
トラックドライバーの給料の目安について知りたい方は以下の記事をご覧ください。
長距離トラックドライバーの給料は高い?平均年収・大手を選ぶべきか解説!
どの会社で働くのか、ということがトラックドライバーとして充実度が大きく変わってくると言えるのです。
長距離トラックドライバーの過酷さを軽減・紛らわす方法
長距離トラックドライバーの仕事は過酷であるということは上述の通りですが、どうやって仕事の辛さを軽減・紛らわせば良いかというと以下のようなやり方があります。
- トラック内を好きな空間に変える
- 配達先で美味しいものを食べるなど仕事以外の目的を作る
- お客さん、配達先役に立てることをやりがいにして業務に臨む
- 適宜休憩を取る、昼寝の時間を取るなどして仕事中に体力の回復をさせる
長距離トラックドライバーの仕事の辛さを軽減・紛らわすためには、精神面と肉体面を充実させることが重要です。
そのため、精神面を充実させるために、仕事場であるトラック内に好きなものを置いたり、好きな音楽をかけたりしてトラック内を楽しい空間に変えていくという方法があります。
また、楽しい気持ちで配送先に向かうために、配送先の地域の名物を楽しむ、美味しいご飯を楽しみにするというのも1つの方法です。
何より、自身が働くことで、喜んでくれる、感謝してくれるお客さんがいるというのは大きなやりがいとなります。
体力面を担保するために、適宜休憩をとったり、昼寝をしたりして体力面を回復しながら精神面を充実させて行くというのが辛さを軽減するにはよいのです。
仕事が過酷すぎて耐えられない場合は転職という手段もあり
仕事が過酷すぎて耐えられない場合は、転職という手段を取りましょう。
前の章でもお伝えしましたが、トラックドライバーは採用ニーズが高いのに、成り手がいないため採用に困っている会社は非常に多くあります。
そのため、福利厚生、労働環境の整備を整備している会社も増えてきています。では、どのような形で労働環境、福利厚生を整備しているのかというと以下の通りです。
- 社員寮を完備している
- 結婚祝い金や賞与を支給
- 長距離トラックを運転するのに必要な運転免許の資格補助
- 残業代の支給
- 労働時間の管理を行う、週休2日制を導入
厚生労働省の調査によると、長距離トラックドライバーの平均年収は450~460万といわれていますが、このような福利厚生が充実していると生活が楽になります。
また、働きやすくもなりますのでこのような労働環境、福利厚生を充実させている運送会社に転職する方も増えています。
これからトラックドライバーになりたいと思う方、または現役の長距離トラックドライバーでもっと働きやすい会社で働きたいと思われる方は待遇の良い会社に転職という方法を取るのが最適だと言えます。
きつくない長距離トラックドライバーの仕事を探すコツ
長距離トラックドライバーの仕事は原則ハードではありますが、どの運送会社で働くのかによってきつい、きつくないが分かれてくることになります。
では、きつくない長距離トラックドライバーの仕事をどのように探せばよいのか、最後にお伝えします。
結論から言えば、トラックドライバー専門の転職サイトや転職エージェントを利用して下さい。
ドライバー専門の転職サイト、転職エージェントを利用するメリット
あまり馴染みがないかもしれませんが、実はトラックドライバー専門の転職サイト、転職エージェントというのは数多く存在しています。
では、なぜこのようなトラックドライバー専門の転職サイト、転職エージェントを利用するのが良いのかというと、以下のような理由があるからです。
- トラックドライバー専門なのでそれ以外の求人がなく分かりやすい
- 採用に関してお金をかけられる会社の求人が掲載されているため、優良案件が多く掲載されている
- 地域、福利厚生、年収など複数の検索機能が搭載されていて、好みの求人を見つけられる
- スカウト機能があり、採用される可能性の高い運送会社から連絡を貰える
トラックドライバーとして働きたいのであれば、専門サイトや転職エージェントで求人を探し出すのが最も手っ取り早いです。
ハローワークで募集をかければお金をかけずとも採用活動は成立するにも関わらず、わざわざお金を出して採用活動をしているという点からも優良な会社が見つかりやすいです。
また地域、福利厚生、年収などといった条件から、求人を見つけ出せるため、より自分の働きたい会社を見つけ出しやい作りになっています。
しかもこのようなトラックドライバー専門の転職サイト、転職エージェントでは会社から直接面接を受けませんかという案内(スカウト)を受けられますので、採用可能性の高い会社を見つけ出しやすいです。
トラックドライバーの求人情報を見るポイント
トラックドライバーの求人を探す際には、以下のポイントを確認しておくとより良い求人を見つけられやすくなります。
- 社員数(トラックドライバー在籍数)
- 勤務時間・休日
- 給与体系
- 罰則規定
社員数
社員数が多いということは、自分の代わりとなるドライバーが在籍しているということになりますので休みが取りやすいことがある程度想像がつきます。
勤務時間・休日
また、転職サイト等の求人票には就業時間の記載がありますが、詳細までは分からないことも多いです。
上述したように長距離トラックドライバーは仕事が不定期になる傾向にあります。そのため、インターネットや面接で、詳細な労働時間・休日については押さえていきましょう。
以下の記事では、長距離トラックドライバーの労働時間・休日について労働基準法とともに詳しく解説しています。
長距離トラックドライバーは必要な休みが取れていない?労働基準法も解説!
給与体系
併せて、トラックドライバーの給与に関しては固定給与制度の会社もあれば歩合制の会社もありますし、固定+歩合の給与を取っている運送会社もあります。
自分に合った給与体系の会社を選ぶことも長期的に就労するという観点では大事であると言えます。
罰則規定
加えて、会社によっては、交通事故を起こしてしまった場合には全て自己責任である会社もあれば、トラックを運転できない間の給与補償等がある会社もあります。
このような補償の有無というのも働くうえで重要な情報なので必ず確認しておきましょう。
以上を踏まえ、長距離トラックドライバーとして就職、転職を考えているのであれば、このようなトラックドライバー専門の転職サイト、転職エージェントを利用し、必要な情報を収集しながら求人を探すことをおすすめいたします。
労働環境が整ったドライバー求人に強い転職エージェントをご紹介します
ここまでご説明したように、ドライバーに特化した転職サイトや転職エージェントを利用するメリットは多くありますが、保有している求人の大半がキツいものばかりということはあるあるです。
当サイトは、労働環境が整ったドライバー求人に強い転職エージェントと提携しているため、転職のアドバイザーを無料でご紹介可能です。
キツくない長距離トラックドライバー求人の紹介を希望の方は、下記フォームの「転職相談内容」の欄に「ドライバー求人紹介希望」と明記の上、お気軽にお問い合わせください。
長距離トラックドライバーの仕事内容についていただいた質問
レイズキャリアでは、キャリアや転職に関する質問を受け付けております。ここでは長距離トラックドライバーの仕事内容についていただいた質問と回答をご紹介させていただきます。
長距離トラックドライバーの方は車内の空間づくりにこだわっている方が多いようですが、どんな工夫があるか教えてください。
(40代男性)
車内を快適にするためのアイテムとして、着替えや寝具、携帯ポット(水筒)、小型冷蔵庫、休憩時用のテレビ、カセットコンロ、アイドリングストップ時に使用するヒーター、遮光カーテン、入浴セット、サンダルなどを常備している方が多いです。
長距離トラックドライバーの方はどこでお風呂に入っているのでしょうか。毎回銭湯を探すのは大変だし費用が嵩みそうだなと思ったのですが。
(40代女性)
サービスエリアやパーキングエリア、トラックドライバー向けの休憩所トラックステーションのコインシャワーを利用することが多いです。ガソリンスタンドによっては給油の際に、無料でシャワーを貸してくれるところもあります。道の駅にもお風呂が併設されていることがありますが、大型トラックの枠が少ないため毎回利用できるわけではありません。もちろん、広い駐車場がある銭湯を利用する方もいらっしゃいます。節約志向の方や時間短縮を優先する方は、汗拭きシートだけで対応する方もいるようです。
トラックドライバーの平均年齢は上がっているとのことですが、なぜですか。
(30代男性)
日本トラック協会の調査によると、トラックドライバーの平均年齢は上昇傾向にあり、2018年時点で47.2歳となっています。この理由としては、少子高齢化のほか、昔よりもトラックドライバーのイメージが良くないこと、免許取得の難易度が高くなったことが挙げられるでしょう。
長距離トラックドライバーが免停になったら働けなくなってしまいますが、運送会社はどのような処置を取るのですか。
(40代男性)
免許停止では、最短1ヶ月、最長6ヶ月運転することができなくなります。トラックドライバーが免許停止になった場合の処置は会社により異なります。良心的な会社であれば免許停止の期間中だけオフィスワークや雑務をお願いすることもあります。フォークリフトの資格を所持していれば、積み込みだけ任されることもあるでしょう。しかし、虚偽の報告をした場合や会社との契約内容によっては解雇される可能性もあります。まずは、免許停止にならないよう細心の注意を払いましょう。