40代未経験で介護職への転職か可能なのか
転職市場において30代を過ぎると新しい業界への転職は難しくなります。40代となれば、なおさら難しくなります。
そういった40代の転職において、未経験でもハードルが低いのが介護職への転職です。
40代未経験でも介護職へ転職できる理由を解説します。
介護職の平均年齢は高い
介護職員は、平均年齢が45.1歳で、約4人に1人が40代となっています。
介護業界では40代、50代が働き盛りで、60代以上で働いている方もいらっしゃるのです。
それゆえに、40代で資格なし未経験の方を対象とした求人が多くあります。
同年代が多い40代の応募者であれば、採用する側も周りの方もうまくやっていけるだろうという安心感があります。
人手不足が深刻
介護業界は人手不足が深刻です。
全産業の有効求人倍率が通常は1.5倍前後、コロナ渦以降はほぼ1.0倍になっているのに対して、介護業界では4.0倍ほどの倍率を維持しています。
つまり、4つの企業が1人の介護士を取り合っているということです。
人手不足であるため企業側は条件をよくせざるを得ず、40代未経験でも採用されやすいのです。
40代で介護業界に転職するメリット
介護業界に転職するべきなのか判断してもらうために、まずはメリットを解説していきます。
業界の将来性がある
2015年に3,400万人ほどだった日本の高齢者人口は、2042年には3,900万人を超えると予測されています。
高齢者が増えれば、介護の需要は当然増えます。介護業界は、日本における数少ない成長産業なのです。
2025年には38万人の介護士が不足するという試算もあり、介護士は今後も食いっぱぐれる可能性が極めて低い職種と言えます。
景気に左右されない
コロナウイルスの流行は、多くの業界に影響をもたらしました。小売業や観光業では需要が激減し倒産を余儀なくされた企業も少なくありません。
どんな業界も世界情勢や景気の影響を受けるものです。各企業では対策しようがありません。
ただし、介護業界では介護を必要とする高齢者がいる限りニーズが減ることはなく、景気などの外部要因に左右されにくい業界と言えるでしょう。
働き方が柔軟
介護職は正社員やパート、派遣などの働き方を選びやすいです。
最初はパートや派遣として週3日だけ働く、午後だけ働くといった勤務も可能です。
慣れてきたら勤務時間を増やしていく、正社員として応募してみるといった選択をしてもよいでしょう。人手不足なので正社員になること自体のハードルはそこまで高くありません。
未経験で介護職に転職される方は、夜勤を含め様々な業務、働き方を経験した上で、徐々に自分に合った働き方を見つけていくとよいでしょう。
これまでの経験を活かすことができる
介護は人と人が向き合う職種なので、介護の資格や経験がなくても、これまでの経験を活かすことができる場面が多くあります。
介護の現場では事務作業が必要な場面も多いです。事務やデスクワークの経験がある方であれば、頼りにしてもらえます。
接客業や営業の経験がある方であれば相手のニーズを聞いてそれに合った対応をすることが得意でしょう。
エステサロンで勤めていた方であれば、アロマの知識を活かしたレクリエーションを行うといったことも可能です。
ドライバーの経験がある方であれば送迎もできる人材として重宝されます。
プライベートでも役立つ
介護は誰しもが向き合う可能性がある問題です。40代になった方であれば自分の親、義父母の介護について考え始めているのではないでしょうか。
親など身近な親族が介護が必要になった時に、自分で適切な介護できることはもちろん、どのような施設やサービスにお願いするべきか正しい判断することができます。
介護士として働いている人の中でも、親の介護をきっかけにして、自分に適性があることや介護のやりがいに気づいて介護業界に転職される方がいらっしゃいます。
40代からでも管理職になれる
詳しくは後述しますが、介護業界には多くの資格があり、実務経験を重ねつつ資格を取得していけば介護業界に入ったのが40代でも、主任やリーダーなどの管理職になることは十分可能です。
職員のマネジメント、施設の運営に関わる立場となれば、前職までの経験がより役立つ方もいるのではないでしょうか。
40代で介護業界に転職するデメリット
40代で介護業界に転職するデメリットは、給与と体力面の問題が挙げられます。
給与が下がることが多い
今まで正社員として長く働いてきた方であれば、新しい業界に転職すると給与は下がります。
平成30年において、介護業界で保有資格がない方の平均月収は約26万円となっています。
給与は年数と資格取得を重ねることで増え、実務経験3年以上の方が取得できる介護福祉士の平均月収は約31万円となっています。
介護業界における40代の平均年収は420万円ほどになります。初任給が低いとしても、長期的な目線でキャリアを考えておくとよいですね。
体力が求められる
今まで肉体労働をした方、外回りの営業で移動が多かった方も、介護の現場では違う種類の体力が求められるといいます。
やはり人が相手ですので、とても気を使います。だからこそ、特定の筋肉に疲れが溜まる、勤務後はどっと疲れるということがあるのですね。
資格を取得してマネジメントする側になれば、こうした業務は少なくなるものの、現場で働く際にはある程度体力が求められる仕事であることは間違いありません。
40代未経験で介護転職することにおける男女の違い
40代であれば男女それぞれで転職に対する悩みがあると思います。介護転職することにおける男女の違いを解説します。
40代男性の介護業界への転職
男性の方は、介護業界は女性が多いことを覚えておきましょう。介護従事者の男女比はおよそ1:3となっています。
人間関係で苦労される方もいるようですが、基本的には「男手」として歓迎される事が多いです。
またご家族がいる方は、最初は給料が少ないことを受け入れつつ、どのように収入を上げていくか計画を立てておく必要があります。
介護業界におけるキャリアについては後述します。
40代女性の介護業界への転職
介護業界は、子どもがいる40代女性でも働きやすいと言えます。
40代女性で復職する際に介護職を選ばれる方は非常に多いです。働き方が選べるので子どもがいても働きやすいのです。
子どもが小学生のうちはパートとして平日の日中だけ働き、中学生になり手がかからないようになったら正社員として給与を重視して働くといった選択が可能です。
介護業界に転職する際のポイント
介護業界に転職を希望する方に行ってほしいこと、知ってほしいことをまとめました。
転職の動機を固めておく
「40代だから介護職くらいしかない」といった後ろ向きな理由で転職を考えていないでしょうか。
転職理由を考えるのは、採用されるためだけではありません。
介護に対してやりがいを持てそうな理由や将来のキャリアプランを整理しておくことは、自分自身のためでもあります。
ぜひ前向きに長く働いていけるように、介護業界に転職したい理由を整理しておきましょう。
介護職員初任者研修を取得しておく
まだ介護業界に転職することも迷っている人も転職をもう決めている方も、前もって「介護職員初任者研修」を取得しておくことをおすすめします。
初任者研修は、介護の基本的な知識と技術を学ぶことができる資格です。働き始める前に業務をイメージすることができます。
また、この資格がないと身体介護ができませんので、応募できる求人の選択肢も少なくなります。
今後のキャリアを考えておく
40歳で介護業界に転職したとして、その後20年、場合によっては30年近く働くことができます。
介護士には様々な資格がありますので、どのような働き方、どれくらいの給与を目指したいのか考えつつ、キャリアプランを立ててみましょう。
キャリアプランの例をご紹介します。
まずは2つの資格を取得する
介護士として働き始める際にまず取得しておきたいのが、介護職員初任者研修と実務者研修です。
どちらも講習を受ければ、未経験の方でも取得可能です。
3年目には国家資格を取得
その次に目指したいのが介護福祉士です。
介護福祉士は国家資格で、どの施設においても即戦力としてみなしてもらえる資格です。3年以上(540日以上)の実働経験がある場合に取得できます。
介護福祉士を取得している方は、資格がない方と比較して給与が平均5万円以上高いです。
自分にあったポジションを目指す
介護福祉士の後のステップとしては、介護相談のプロであるケアマネージャー、介護現場のプロである認定介護福祉士、施設の主任やリーダー、関連職種の作業療法士や理学療法士といった選択肢があります。
こうしたキャリアアップをしていくと、業務の範囲が広がることはもちろん、決定権も持つことができるので、やりがいも大きくなります。
研修制度や教育制度を確認する
今後のキャリアを考えたら、それに合った環境が整っている職場を選択しましょう。
施設によっては、資格取得のための時間や費用を支援してくれます。
資格取得を支援してくれるということは、社員を育て長く働くことが前提となっている良い職場の可能性が高いです。
幅広い業務が学べるという点では、要介護度が高い方多い特養(特別養護老人ホーム)が良いでしょう。
その分大変であることも事実ですので、あまり自信がない方は要介護度が低い方が多い施設から始めてみるという手もあります。
介護業界では新人であることを自覚する
どの業界でも同じですが、ある程度年齢を重ねてから新しい業界に転職すると上司が年下ということもあります。
介護業界では新人ですので、注意や指導を素直に受け入れる姿勢が必要です。
若い上司を持つことがストレスになりそうな方は、転職を希望する施設の職員の年齢層を前もって確認しておきましょう。
介護業界に詳しい人に相談する
介護業界に転職を希望していても、まだまだ分からないことだらけだと思います。
新しい業界に転職する際には、その業界に詳しいプロの方に相談するのが一番です。
転職エージェントは、キャリア相談から転職活動のサポートまで無料行ってくれるサービスです。
40代未経験の方におすすめの介護業界の転職先
未経験で介護転職される方におすすめの転職先について解説します。
最初は負担が少ない現場で働きたい方は通所施設、最初からいろいろな経験を積みたい方や少しでも給与を増やしたい方は、老人保健施設や特別養護老人ホームが良いでしょう。
通所介護
デイサービス、デイケアセンターなど、主に日中に施設に通う利用者の方にサービスを行います。
介護度が低い方がほとんどなので、身体介護よりも生活援助がメインです。自力または家族の支援があれば自宅で過ごせている方々ですので、介護の不安を軽減する、利用者の生活を楽しくすることが目的になります。
レクリエーションの立案や実施、食事の提供、入浴のお手伝いなどを行います。
肉体的な疲労が少ない点、夜勤がない点に魅力を感じる方が多いでしょう。その分、給与はやや低い傾向にあります。
訪問介護
訪問介護事業所に勤務し、利用者の自宅にホームヘルパーとして訪問し、介護サービスを行います。
最初から訪問介護で働くことは難しいかもしれませんが、1人で多くの業務を行うからこそ、利用者からのとても頼りにしていただけますし、それゆえにやりがいがあります。
老人保健施設
病院で治療を終えた方が、日常生活に復帰するためのリハビリ期間に入所するのが、老人保健施設です。
高齢者が怪我や病気を患った際には、入院前の生活ができる身体状態に戻るまでに時間がかかります。そういた普通の生活に戻る前の生活をサポートを行います。
看護師や理学療法士といった介護士以外の方とも協力するため、多くの知識を得ることができます。
特別養護老人ホーム
常に介護を必要とする利用者が入居しているのが、特別養護老人ホームです。介護の業務を幅広く経験することができます。
こうした介護施設は常に稼働していますが、シフト制になっているため、人員が足りている職場であれば、出勤日や勤務時間の希望も通りやすいです。
はじめからできるだけ多く稼ぎたい方であれば、夜勤の割合を多くする、または夜勤専従として勤務するといった働き方をすれば給与も多くなります。
40代で介護職への転職を考えている方からいただいた質問
レイズキャリアでは、キャリアや転職に関する質問を受け付けております。その中から40代で介護職への転職を考えている方からの質問と回答をご紹介させていただきます。
もともと身体が弱く、華奢な体格です。若い方と同じように介護の現場で活躍できる自信がありません。
(40代女性)
介護士は、力がない方でも利用者の方を適切に介護できるようにボディメカニクスを利用した技術を学びます。1人での介護が難しい時には2人以上で協力しますので安心してください。そもそも、介護では体力だけではなく利用者と向き合うことが大切です。これまでの人生経験があるからこそ活かせる点を考えてみてください。
49歳でも介護への転職は可能でしょうか。これまで運送業界でドライバーとして働いてきて他業種の経験はありません。
(40代男性)
50歳前後でも未経験から介護業界に転職される方はいらっしゃいます。介護士として働きたいという熱意と利用者に向き合う姿勢があれば、十分働いていけるでしょう。全く違う職種として働くことが不安ということであれば、介護タクシーなど今までの経験が活かせる求人を探してもよいかもしれませんね。
これまで15年ほど働いてきた会社を退職し、介護業界への転職を考えています。これまで働いてきた経験があるので、即戦力としてバリバリ働こう思っていたのですが、なかなか採用されません。
(40代男性)
未経験で介護業界に転職される場合、介護施設側は即戦力として働いてもらうことは望んでいないと思います。最初の3ヶ月ほどは先輩介護士に付いてもらいながら仕事を覚えることになります。即戦力で働く自信よりも、未経験で転職する者としての謙虚さをアピールした方が採用されやすいのではないでしょうか。
これまで医療事務として同じ会社で長く働いてきましたが、いつの間にか周りは若い方ばかりになり孤立しています。介護業界に転職したいと思いつつも「もうこんな年だし」と踏ん切りがつきません。
(40代女性)
40代から介護業界に転職される方は多くいらっしゃいます。介護施設によっては定年を無くして70代でも働ける環境を整えているところもあります。40代で転職しても30年ほどキャリアを積む時間があることになります。施設の種類や資格を調べたりしながら、転職後にどのようなキャリアを歩めるか考えてみてはいかがでしょうか。